〜なにも言えなくて〜 全体主義とダンスダンスダンス
お世話になったひとが僕に言った。
「シャブだけはあかん」
「なんでかわかるか?」
「卸しから卸しに売られるやろ?そして卸しに売られる」
「その度にみんななんでも混ぜる。なにを混ぜても警察には捕まらない(笑)」
「お前のとこにくるまでにシャブなんてほとんど入ってない」
「それでみんな肝臓を悪くする」
チャゲ&飛鳥の音楽についてなんの関心もないけれど、彼が罪を犯したからといって商品を店頭から引き上げるといった類いのことについて違和感を覚える。
(ジョンもポールも、もっと悪いことしてきたんだぜ)
SMAPの奴が酒に酔って公園で騒いだ時、大臣が「人として最低なことだ」とコメントしたのをニュースで見た。
人気取りが商売の政治家なら「彼にしかわからないストレスやプレッシャーがあるんだろう。彼はみんなを楽しませてきた」くらい言えば良かったのだ。
我々の社会には間違いに対しての、あるいは法的に罪を犯したことに対しての容赦ない徹底的な断罪の執拗さが存在する。
「彼と作品とは別物なんだ」ということがわからない。
僕らにとって大切なのは、そのような社会を変えることではない。
僕らはそのような社会の中で「なにも言えない」
大切なのは「踊り続けること」しかも「できるだけうまく」
(村上春樹「ダンスダンスダンス」)
ジェイウォークの音楽についてなんの関心もないけれど、犯した罪の代償に唯一の彼の才能を取り上げてしまう権利が社会にあると僕には思えない。
(なにも言えなくて…夏だか冬だか…はよく書けていると思う)